テクノロジーで、おもてなし。最後に残ったのは、誇りと仲間だった!企業理念、その作成と浸透までのストーリー。

後編 お客様に「ありがとう」と言っていただくには?

社会に必要とされていることは?

お客様から「ありがとう」と言っていただく。
お金をいただきながら、さらに感謝の言葉までをいただくのは、
とても困難で、とても簡単なことでした。

私たちは制御盤、コンベア、ロボットユニットを中心とした
主に大きな工場の自動化設備を作るエンジニアリング会社です。

2008年のリーマンショックを経て、
自動車関連を中心に、多くの工場からの設備発注がストップしました。
2009年、新規に装置を発注するお客様は激減していきましたが、
何か他のニーズがあるはず、
お客様、そして社会に必要とされるのは何かと考えると、
それは、日々の工場設備のメンテナンス業務でした。

メンテナンス業務!

折しも「テクノロジーで、おもてなし」と企業理念を作成したところ。
既存の大きな設備の受注に走りがちなメンバーを抑えて、
他のメーカーが面倒で、売り上げがあがりにくいと嫌がる、
「工場の装置メンテナンス業務」を中心に当社では力をいれてきました。

不景気であればこそ、古い装置をフル稼働して、
何とか工場の操業を続ける。
それは、実は時代が求めるニーズでもありました。

他社製の装置も直す!

現在、当社には電気と機械の両方のエンジニアがおり、
生産設備の急なトラブルに近畿圏であれば即日駆けつけ対応を
基本としており、なお予知も含めた設備保全の個別契約もしております。

その中で、たとえ他社が作った生産設備であっても、
即日対応、見積もりをする前から、まず直すこともいたしました。
工場の自動ラインが停まって操業ができずに多額の損失。
そんな不安を解消した時に、
お客様は心から「ありがとう」と言っていただけました。

去って行ったメンバー。残ったものは「誇り」

「おもてなしなどしたくない」「モノを作るのが製造業」と、
他の競合会社に行く、古くからのメンバーも多くおりました。

行ったメンバーを責めることは出来ない。
メンバーと一緒にそのお客様まで去ったことを恨んでも仕方ない。
それは、企業理念を作っただけで、浸透させていない代表の責任。
永く続ける覚悟もなく、
食べて行くための売り上げだけを追いかけていた、あの頃。

去って行ったものを追いかけるより、
新しく、社会に必要とされることをする。
そんな日々の中、メンテナンスとか面倒だと言っていた残った他メンバーも、
お客様から心から「ありがとう」と言ってもらえることで、
苦しい時期に日々、誇れる仕事を手にいれました。

メンテナンスから、新しい装置を受注!

その後、メンテナンスから入った新しいお客様の会社から、
新規設備を適正価格で受注することは、
当社では王道のパターンとなりました。

また、国内では新規設備を作らず、
改造したり改良したりすることが増えて来ているので、
これらメンテナンスで培ったノウハウが現在、最も生きています。
最近は製薬会社や食品会社など、
海外に行きそうにない、最も安全レベルの高い工場にも
毎週の様に工事案件が入り、そして新しい設備を受注しております。

ここ4年の苦しい時期にこそ、
これからを生きて行くこれらのビジョンが産まれた。
そんな気が致します。

「テクノロジーで、おもてなし」を輸出!

当社の製品の60%は依然、海外向け。
国内のお客様の細かいニーズに応えて
技術力を磨くだけではなく、
それらで得たものを海外に製品・サービスとして展開していく。
特に中国・東南アジアでは豊かになり高騰する人件費の問題から、
今後「自動化」のニーズが高まっています。

そんな追い風を受けて、「MADE IN KYOTO」の装置を製造し、
現地でのメンテナンス・アフターフォローまでも含んだ、
「テクノロジーで、おもてなし。」を輸出し、
京都で育み続けるブランドを、世界に広めたい。
海外で、思ったモノづくりを展開できない日本企業様の助けをしたい。

世界の市場で「おもてなしの、ダイイチデンシ」といつか聞こえてくる様な、
今はそんな夢をスタッフ全員で追っています。



ダイイチデンシ株式会社
代表取締役社長 中小路通